03爪と皮膚のトラブル

爪は健康のバロメーター

爪には体のさまざまな状態が現れることから、爪は健康のバロメーターとも呼ばれます。ネイリストはカウンセリングで爪や皮膚の微細な変化を見落とさないことが大切です。

お客様の爪や施術部位に感染性の疾患が認められる場合や、ネイルサービスを避けるべき症状がある場合は、無理に施術せず、専門医(皮膚科)の受診をすすめるなど、適切に判断します。判断に迷うトラブルは、施術できるかどうかを慎重に見極めましょう。

先天性と後天性

爪の異常は、原因によって2つに分けられます。遺伝や生まれつきによるものを「先天性」、けがや病気など後から生じた原因によるものを「後天性」といいます。

先天性には、爪の先天的な異常や、骨・皮膚の角質異常に伴うもの、短爪症(ラケット爪)などがあります。後天性には、全身の病気の一症状として現れるもの、皮膚疾患の一部として現れるもの、爪だけに異常が出るものなどがあります。

爪の色調異常

爪の疾患は、外から見て色で判別できるものがあります。施術前には爪の色をよく観察し、異常があれば施術の可否を判断しましょう。

爪の色考えられる状態・疾患
白斑ルコニキア(爪白斑〈そうはくはん〉)。爪に白い点が現れる。
白濁肝硬変〈かんこうへん〉・慢性腎不全〈まんせいじんふぜん〉・糖尿病 など。
黄白色爪甲剥離症〈そうこうはくりしょう〉・ニコチン付着・リンパ系や内臓の異常。
青紫色先天性心疾患・肺疾患。
青白色貧血。
緑色緑膿菌〈りょくのうきん〉感染(グリーンネイル)。
爪下出血〈そうかしゅっけつ〉・発熱性肉芽腫〈はつねつせいにくげしゅ〉。
黒褐色爪下出血・色素沈着・メラニン増加・悪性腫瘍〈あくせいしゅよう〉・薬剤の影響 など。
爪の色調異常のチャート:白濁(肝硬変・慢性腎不全・糖尿病)、黄白色(爪甲剥離症・ニコチン付着・内臓の異常)、青紫色(先天性心疾患・肺疾患)、緑色(緑膿菌感染=グリーンネイル)、黒褐色(爪下出血・色素沈着・悪性腫瘍)
爪の色調異常

感染性の皮膚・爪の疾患

次の疾患は人にうつる可能性があり、原則としてネイルサービスを断る対象です。原因となる病原体とあわせて覚えましょう。

イボ(尋常性疣贅〈じんじょうせいゆうぜい〉)…イボウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス)。爪下の角質が増え、完治しにくい
単純性疱疹〈たんじゅんせいほうしん〉(ヘルペス)…ヘルペスウイルス。免疫が低下したときに唇や皮膚に小さな水疱が群がり、繰り返す
伝染性膿痂疹〈でんせんせいのうかしん〉(とびひ)…黄色ブドウ球菌や連鎖球菌(細菌)。水疱やかさぶたを生じる。
白癬〈はくせん〉…白癬菌(真菌)。手白癬や爪白癬〈つめはくせん〉(オニコマイコーシス)では爪が白濁・黄白色に変化する。
疥癬〈かいせん〉…ヒゼンダニ(疥癬虫〈かいせんちゅう〉)の寄生。2〜4週間の潜伏後、激しいかゆみを伴う。

皮膚の疾患では、外部刺激による接触性皮膚炎(かぶれ)が代表的で、刺激性とアレルギー性に大別されます。ほかに湿疹や乾癬〈かんせん〉などの慢性の皮膚疾患もあります。

ネイリストが知っておくべき爪のトラブル

爪のトラブルは、ギリシャ語由来の医学用語で出題されることがあります。爪を表す語は「オニコ(onycho)/オニキス(onyx)」で、これに語源が組み合わさります。
lysis(リシス)=溶解 → オニコライシス(爪甲剥離症)
phagy(ファジー)=食べる → オニコファジー(咬爪症)
leuko(リューコ)=白ルコニキア(爪白斑)
rexis(レクシス)=裂ける → オニコレクシス(爪縦裂症)
pterygium=翼 → テリジウム(翼状爪膜)

和名医学用語症状・特徴
爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)オニコライシス爪甲が爪床から剥がれて白く見える。外傷・カンジダ感染・甲状腺機能異常などが原因。
爪下出血(そうかしゅっけつ)ヘモレッジ(ブルーズネイル)爪床の損傷で内出血し、黒っぽくなる。
咬爪症(こうそうしょう)オニコファジー爪を噛む習慣が原因で、爪先が変形する。
ささくれ・さかむけハングネイル爪の周りの皮膚が乾燥し、ひび割れる。
爪白斑(そうはくはん)ルコニキア爪に白い点が現れ、爪が伸びるとともに消える。
爪縦裂症(そうじゅうれつしょう)オニコレクシス爪に縦の筋が入り割れる。乾燥やリムーバーの多用が原因。
翼状爪膜(よくじょうそうまく)テリジウム爪上皮が過度に伸びて、爪の表面をおおう。
爪甲萎縮症(そうこういしゅくしょう)オニカトロフィア爪甲がもろく小さくなり、剥がれ落ちる。
巨爪症(きょそうしょう)オニコオキシス爪甲が異常に厚くなる(爪肥厚症〈そうひこうしょう〉)。
爪鉤彎症(そうこうわんしょう)オニコグリフォーシス(クローネイル)爪が大きく彎曲して厚くなる。
バチ状指(ばちじょうし)ヒポクラテスネイル指先の爪が大きく丸く盛り上がる。心・肺疾患が背景のことも。
卵殻爪(らんかくそう)エッグシェルネイル爪が薄くやわらかく白っぽくなり、先端が内側へ湾曲する。栄養障害や内臓の疾患が背景にあることも。
匙状爪甲(さじじょうそうこう)コイロニキア(スプーンネイル)爪の中央がへこみ、スプーンのように反り返る。鉄分不足や貧血、遺伝、指先をよく使う仕事などが関係する。
細菌性爪郭炎(さいきんせいそうかくえん)パロニキア爪の周りに細菌が侵入して炎症・腫れを起こす(ひょう疽〈そ〉)。
真菌性爪郭炎(しんきんせいそうかくえん)カンジダ性爪郭炎カンジダ(真菌)感染で、爪郭に発赤や腫れが出る。
グリーンネイル緑膿菌感染緑膿菌〈りょくのうきん〉の感染で爪が緑色になる。
陥入爪(かんにゅうそう)オニコクリプトーシス(イングローンネイル)深爪や合わない靴の圧迫などで、爪が周りの皮膚に食い込み炎症を起こす。
爪甲縦条(そうこうじゅうじょう)ロンギトゥディナルストリエーション加齢や乾燥により、爪の表面に縦の筋(線)が入る。
爪甲横溝(そうこうおうこう)ボーズライン(コルゲーテッドネイル)後爪郭へのダメージ(栄養障害・外傷など)で、爪に横方向の溝ができる。
胼胝(たこ)カルスくり返す圧迫で皮膚の角質が硬く厚くなった状態。足の裏などにできる。
魚の目・鶏眼(うおのめ・けいがん)コーン合わない靴などの圧迫で角質に硬い芯ができ、神経を圧迫して痛む。
よくある爪のトラブル:グリーンネイル・二枚爪・爪甲剥離症・ささくれ(ハングネイル)・爪白斑
よくある爪のトラブル
卵殻爪(エッグシェルネイル)と匙状爪甲(コイロニキア/スプーンネイル)の爪の断面イラスト
覚えておきたい爪のトラブル
広告枠(末尾)

爪と皮膚のトラブル 小テスト

毎回ランダムに10問。学んだ内容をすぐ確認。

小テストに挑戦する
< 前の分野ネイルの歴史と技術体系 次の分野 >皮膚科学