教科書|分野 1/25
01ジェルネイルの基礎知識
ジェルネイルとは
ジェルネイルとは、流動性のある粘液状の合成樹脂を爪に塗布し、紫外線(UV-A)や可視光線(Vis)を照射して硬化する光重合(フォトポリマリゼーション)反応を利用したネイル材料、およびそれを使った技術のことを指します。
略称の意味も押さえましょう。UV=Ultraviolet(紫外の)、Vis=Visible(可視の)の略です。
カラーポリッシュとの違いは硬化のしくみにあります。カラーポリッシュが溶剤の揮発によって乾くのに対し、ジェルは光の照射による化学反応で硬化します。そのため、ライトを当てなければ固まりません。実際の施術ではLEDライトやUVライトを使って硬化させます。
技術体系の中では、長さを出す場合はイクステンション、自爪の上に塗る場合はリペア(フローター)やアートに位置づけられます。
光重合(フォトポリマリゼーション)のしくみ
光重合(フォトポリマリゼーション)とは、簡単な構造を持つ低分子化合物が2つ以上結合し、分子量の大きな高分子化合物(重合体=ポリマー)を生成する反応である重合(ポリマリゼーション)を、光の照射によって開始させることをいいます。
ジェルの主要成分は次の3つで、これらが一体となっています。
| 成分 | はたらき |
|---|---|
| メタクリル酸エステルモノマー | 重合の材料となる低分子化合物。 |
| アクリル酸オリゴマー | モノマーがいくつか結合した中程度の分子。 |
| 光重合開始剤 (フォトイニシエーター) | 紫外線や可視光線などの光を吸収することでラジカル(不対電子)を発生し、重合を開始させる成分。 |
ラジカルによって行われる重合なのでラジカル重合といいます。なお、ジェルは重合する際に収縮し、発熱します。硬化中に熱さを感じることがあるのはこのためです。

図の3コマが示していること
左から右へ、ばらばらの分子が光を受けて網目状につながる流れを表しています。
- 左…モノマー・オリゴマーがばらばらに存在している未硬化の状態
- 中央…光が当たり、光重合開始剤がラジカルを発生させて分子どうしが結合しはじめる
- 右…分子が網目状につながってポリマー(重合体)になり、硬化が完了する
ハードジェルとソークオフジェルの違いも、この右の図で理解できます。網目の結合面が多いほど硬く強く(ハードジェル)、少ないほど柔軟(ソークオフジェル)になります。配合するモノマー・オリゴマーの違いが、この網目の密さを決めています。
未硬化ジェルとは
ジェルを硬化させる際、ライトとジェルの間にある空気中の酸素が原因でUV-Aが遮断され、硬化しないジェルが残ります。これを未硬化ジェルと呼びます。
より正確には、ジェルは空気中の酸素によって重合阻害を受けてしまい、表面に未重合のモノマーが残ります。これが未硬化ジェルの正体です。
トップジェルを硬化させた後、クレンザーを含ませたワイプでふき取ります。

なぜ表面だけ固まらないのか
図のとおり、ライトとジェルの間にある空気中の酸素がUV-Aを遮断します。そのためいちばん上の層だけ光が届かず、硬化せずに残ります。これが未硬化ジェルで、正体は未重合のモノマーです。
専門的には、ジェルが空気中の酸素によって重合阻害を受けている状態です。「酸素が邪魔をして、表面だけ反応が完了しない」と理解しておけば十分です。
対処はクレンザーを含ませたワイプでふき取ることです。検定ではふき取り不要のトップジェル(ノンワイプ商品)であっても、必ずふき取ると定められています。商品の仕様ではなく試験の規定である点に注意しましょう。
ハードジェルとソークオフジェルの違い
ジェルにはハードジェルとソークオフジェルの2種類があります。モノマー、オリゴマーの選択(分子量、反応点の数、分子構造)によって硬化状態(強度、耐久性)が変化し、この配合の違いで区別されます。
| ハードジェル | ソークオフジェル | |
|---|---|---|
| 分子の結合 | 結合面が多く、硬くて強い重合体(ポリマー)を作る | 結合面が少なく、結合力が弱いので柔軟な重合体(ポリマー)を作る |
| 質感 | 美しい光沢が持続する | 柔軟性があるのでナチュラルネイルにフィットしやすい |
| 長さ出し | 長さやアーチロケーション(高さ、丸み)を出しやすい | ポリッシュ感覚で使える |
| 溶剤 | 溶剤で溶けない | 溶剤で落とせる |
| オフの方法 | ファイリングが必要 | 専用リムーバーに浸けて(ソークオフして)落とす |
覚え方はハード=硬い・溶けない・削ってオフ、ソークオフ=柔軟・溶ける・浸けてオフです。「ソークオフ(soak off)」は「浸けて落とす」という意味そのものです。
ソークオフジェルはカラーポリッシュよりもツヤと耐久性が良いのが特徴です。ポリッシュ感覚で使えて持ちがよく、しかも溶剤で落とせるという扱いやすさから、サロンで広く使われています。
主なジェル商品
| 商品 | 役割 |
|---|---|
| ベースジェル | ナチュラルネイルとの密着度を高めたり、色素沈着を防いだり、ジェルカラーリングをする上で重要な役目を担う。 |
| カラージェル | 透明のジェルに顔料などを加えたもの。顔料が沈んでいる場合があるので、消毒可能なプラスチックや金属製のスパチュラなどを用いて撹拌(かくはん)してから使う(商品によっては撹拌が不要なものもある)。 |
| トップジェル | カラージェルを硬化させた後に上からコーティングすることで、ツヤを出し、持ちを良くする。 |
| クレンザー | ジェルを硬化した際に残った未硬化ジェルをふき取るために使う。通常、ワイプなどに含ませて使用する。 |
| プレプライマー | ナチュラルネイルに水分や油分を除去するために用いる。ジェルのリフティングを防ぎ、清潔な状態にする。 |
| プライマー | プレプライマーを塗布した後に使用することで、密着度をさらに高める。メーカーによっては使用しないこともある。 |

容器の形で2つに分かれる
図のとおり、用品はジャー入りとボトル入りに分かれます。この分け方が、そのまま役割の違いになっています。
- ジャー入り(ベース・カラー・トップ)…爪に塗って硬化させるジェルそのもの。筆で取って塗るため、口の広いジャーに入っている
- ボトル入り(クレンザー・プレプライマー・プライマー)…下準備と仕上げに使う液体。硬化させるものではない
3つのジェルは塗る順番がそのまま役割の順です。ベース(密着させる)→ カラー(色をつける)→ トップ(守る)。両端のベースとトップは見た目も成分も似ていますが、ベースは色素沈着を防ぎ、トップはツヤを出して持ちを良くすると目的で区別します。
ボトル3つはいつ使うかで分かれます。プレプライマーとプライマーは塗る前(水分・油分の除去と密着度の向上)、クレンザーは硬化させた後(未硬化ジェルのふき取り)です。なおプライマーはメーカーによっては使用しません。
ジェルネイルの基礎知識 小テスト(初級)
この章の内容を含む小テストです。毎回ランダムに出題されます。
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